お気に入りのキャラクターや、ずっしりと重厚感のある金属製のチャーム。たくさんの飾りがじゃらじゃらと付いたキーホルダーは、個性を表現する楽しいアイテムです。しかし、そのキーホルダーの「重さ」が、知らず知らずのうちに、大切な鍵や、さらには車やバイクの錠前そのものに、深刻なダメージを与えている可能性があることをご存知でしょうか。特に注意が必要なのが、車やバイクのイグニッションキーです。走行中、イグニッションシリンダーに差し込まれた鍵には、キーホルダーの重みが常にぶら下がっている状態になります。そして、路面からの振動や、カーブでの遠心力によって、そのキーホルダーは絶えず揺れ動き、鍵の根元部分にテコの原理で大きな負荷をかけ続けるのです。この負荷が長期間にわたって繰り返されると、鍵の金属部分が徐々に摩耗したり、変形したりする原因となります。その結果、鍵がスムーズに回らなくなったり、最悪の場合は、走行中に鍵が抜け落ちてしまったり、あるいは鍵の根元が折れてしまうといった、重大なトラブルを引き起こしかねません。さらに、ダメージは鍵だけでなく、イグニッションシリンダー側にも及びます。鍵が揺さぶられることで、シリンダー内部の精密なピンやタンブラーが異常摩耗し、接触不良や、錠前全体の故障につながるのです。ディーラーの整備士の中には、イグニッションの不調で持ち込まれた車の原因が、過度に重いキーホルダーであったというケースを、少なからず経験していると言います。では、どのくらいの重さなら安全なのでしょうか。明確な基準はありませんが、一般的には、鍵本体を含めても、数個の鍵を追加する程度、具体的には数十グラム程度に留めておくのが賢明とされています。大きなぬいぐるみや、金属の塊のような重いアクセサリーは、イグニッションキーとは別のキーホルダーに付けるか、あるいはカバンの中にしまうように習慣づけるべきです。キーホルダーは、あくまで鍵の補助的な役割を担うもの。その重みが、愛車の心臓部であるイグニッションシステムを静かに蝕んでいくことのないよう、日頃からの適切な管理が求められます。
そのキーホルダーは鍵を傷めているかも