インテリジェントキーを紛失してしまった場合、それは単に物理的な鍵をなくしたのとは訳が違います。高度な電子機器と盗難防止システムが一体化しているため、その復旧には専門的な手順と、決して安くはない費用が必要となることを覚悟しなければなりません。まず、紛失に気づいたら、身の回りを徹底的に探すのはもちろんですが、同時に最寄りの警察署へ「遺失届」を提出しましょう。これは、万が一、紛失したキーが悪用されて車両が盗難に遭った際に、重要な証明となります。探索しても見つからなかった場合、新しいキーを作成するための依頼先は、主に「日産のディーラー」か、「イモビライザーに対応できる専門の鍵屋」の二択となります。ディーラーに依頼する最大のメリットは、純正部品を使った確実な作業と、メーカー保証という絶対的な安心感です。しかし、その分、費用は高額になる傾向があります。キー本体の部品代に加えて、新しいキーの情報を車両のコンピューターに登録するための作業工賃が必要となり、総額で三万円から、車種によっては十万円を超えることもあります。また、キーの取り寄せに時間がかかったり、車をディーラーまでレッカーで移動させる必要があったりするのもデメリットです。一方、専門の鍵屋に依頼するメリットは、そのスピード感です。多くは出張サービスに対応しており、電話一本で現場まで駆けつけ、その場で新しいキーの作成からイモビライザーの登録までを完了させてくれます。費用も、ディーラーよりは安価に済むことが多いです。ただし、業者によって技術力や料金体系に大きな差があるため、信頼できる業者を慎重に選ぶ必要があります。また、最新の車種や特殊なセキュリティシステムを搭載した車の場合、鍵屋では対応できず、ディーラーでしか作業できないケースもあります。いずれの選択をするにしても、インテリジェントキーの紛失は、時間的にも金銭的にも大きな痛手となります。だからこそ、日頃からスペアキーを必ず作成し、自宅など安全な場所に保管しておくことが、最大のリスクヘッジとなるのです。
インテリジェントキーをなくした時の費用と手順