私の朝は、いつも小さなストレスと共に始まっていました。それは、家を出る直前の「鍵はどこだっけ?」という、恒例の捜索活動です。カバンの中をひっくり返し、上着のポケットを探り、ようやく見つけ出した時には、もう出発予定時刻を過ぎている。そんな日々に終止符を打つきっかけとなったのが、自宅玄関への電子キー、いわゆるスマートロックの導入でした。正直に言うと、最初はデジタル機器への不安がありました。電池が切れたらどうするのか、ハッキングされたりしないのか。しかし、鍵を探す毎日の煩わしさへのうんざり感が、ついにその不安を上回ったのです。設置は驚くほど簡単でした。既存の錠前の内側のつまみ部分に、後付けで取り付けるタイプを選んだため、工事は一切不要。設定を終え、初めてスマートフォンアプリで解錠した時の、あの「ウィーン」という静かな作動音と、カチャリと開くロックの感触は、新しい時代の扉が開いたようで、少し感動したのを覚えています。その日から、私の生活は劇的に変わりました。まず、朝の鍵探しが完全になくなりました。三木市で金庫の暗証番号を忘れてスマートフォンは常に身につけているので、鍵を意識する必要がありません。そして、何より心の平穏をもたらしてくれたのが「オートロック機能」です。ドアが閉まると、数秒後に自動で施錠されるため、「あれ、鍵閉めたっけ?」と、外出先で不安になることが一切なくなったのです。これは、想像以上に大きな精神的な解放でした。また、遠方に住む両親が訪ねてきた際には、一時的に有効なデジタルの合鍵をアプリで発行し、私が不在でも家に入ってもらうことができました。物理的な鍵の受け渡しという制約から解放された瞬間でした。もちろん、スマートフォンの電池切れに備えて、キーケースにはこれまで通り物理キーも一本入れています。しかし、それはもはや日常的に使うものではなく、万が一のための「お守り」のような存在です。電子キーがもたらしてくれたのは、単なる利便性だけではありません。それは、日々の小さなストレスから心を解放し、新しい安心の形を与えてくれる、暮らしの質の向上そのものだったのです。